コラム

「ウィズコロナ」の時代に「サードプレイス」 / サードプレイスを巡るあれこれ①

「サードプレイス」という言葉を聞いたことがありますか?

サードプレイスとは、「ファーストプレイス」=自宅、「セカンドプレイス」=職場・学校、ではない、「第三の場所」と、米国の社会学者であるレイ・オルデンバーグ(1989)は定義しています。

サードプレイスは、なじみの人々が集まりリラックスをして交流をする場であり、日々の疲れや悩みなども回復できる居心地の良い場所で、日々の生活を送る上で必要不可欠としています。

コロナ禍で多くの人々の意識や行動が変化しました。特に長期にわたり外出制限を余儀なくされたことで、サードプレイスの価値を見直したり、新たに設置しようという動きが世界中で広がっています。

サードプレイスの代表的な場所は「カフェ」とされています。日本でもこうしたサードプレイスがコロナ禍で利用を制限されたことから、逆にその価値がこれまで以上に見直され、人々に求められていると考えられます。

日本でもコロナ前からカフェでゆっくりくつろいだり、さまざまな作業をしたり、イベントを行ったりと、多様に使われてきました。コロナ禍で飲食店が大きな影響を受ける中、まちのカフェも大きな影響を受け使われ方も変化しています。

筆者は現在地域のサードプレイスについて研究を行っていますが、日本ではまだまだ「サードプレイス」という言葉だけではなく、どんなものなのか、どんな価値を持つのかということがあまり知られていません。

しかし、「ウィズコロナ」と言われる中、日々の疲れや個人が感じている課題や問題をそのまま蓄積せずに、地域で回復し解決することが、これまで以上に求められていると感じます。そこで、ぜひ多くの人に「サードプレイス」のことを知ってもらいたいと思い、研究で得られた知見をあれこれ発信していきたいと思います。

この記事を書いた人 UMリサーチ&コンサルティング 代表 上田真弓
大手シンクタンクを経てマーケティング・コンサルタントとして独立。その後地域のマーケティングを行うUMリサーチ&コンサルティングを立ち上げる。消費者調査、戦略策定、まちづくり、地域活性化関連調査・コンサルティング業務について多数実績有。東京大学大学院工学系研究科(都市持続再生学コース)卒業後、現在は、東京都市大学大学院環境情報学研究科(博士後期課程:都市再生研究室)にて、サードプレイスに関する研究を行う。主な著書:「ファン・マーケティング(毎日コミュニケーションズ)」「中国人観光客が飛んでくる!(毎日コミュニケーションズ)」等多数。