コラム

サードプレイスと地域のつながり / サードプレイスを巡るあれこれ②

日本は戦後、阪神・淡路大震災と東日本大震災と大きな地震が2回も起こりました。

大災害の中では、ご近所同士の「つながり」が重要です。だから、「地域のつながり」の重要性が再認識されました。

でも一方で、特に都市部ではご近所同士のつながりはますます薄くなっているのです。

ご近所のアパートに表札が無くて誰が住んでいるのか分からない、ということはよくありますよね。昔は買い物へ行けばお店の人と言葉を交わしたやりとりで物を買うことが普通でしたが、最近はスーパーやコンビニで言葉を交わさずにただ買うだけ、というのが当たり前になっています。

普段暮らしていく上では何の問題も無いかもしれません。しかし、いざ災害や事故が起きたりした時には、どうでしょう?

自分が閉じ込められていたり怪我をしているのに誰も自分の存在を知らない。そういう事が起きるかもしれません。

え、そうなったら自分の運命だとあきらめる???

そんな事言っていたら、住んでいる場所はどんどん治安が悪くなって極めて住みにくい場所になってしまいます!

やっぱり地域でコミュニケーションがきちんとある地域の方が、安全・安心度は高く住みやすい傾向にあるのです。

でも、急にご近所の人と仲良くなれと言ったってどうすりゃいいんだ?という声もありますよね。ご近所に行ってピンポーンと自分をセールスするわけにはいきません。

そんな時に「サードプレイス」があると、大きな力を発揮します。

もともとサードプレイスは、自宅の近くにあって常連客が気兼ねなく交流できる場を指します。日本だとそういう場所を持っている人は少数派かもしれませんが、コロナによりリモートワークをする人が増加し、初めて自宅の周囲に目を向けた人も多いでしょう。

もしこれを読んでいるあなたがそうなら、ぜひお気に入りになりそうな場所へ継続的に出かけて行ってください。そこで始まる交流は、将来きっとあなたを助けてくれることになると思います。

この記事を書いた人 UMリサーチ&コンサルティング 代表 上田真弓
大手シンクタンクを経てマーケティング・コンサルタントとして独立。その後地域のマーケティングを行うUMリサーチ&コンサルティングを立ち上げる。消費者調査、戦略策定、まちづくり、地域活性化関連調査・コンサルティング業務について多数実績有。東京大学大学院工学系研究科(都市持続再生学コース)卒業後、現在は、東京都市大学大学院環境情報学研究科(博士後期課程:都市再生研究室)にて、サードプレイスに関する研究を行う。主な著書:「ファン・マーケティング(毎日コミュニケーションズ)」「中国人観光客が飛んでくる!(毎日コミュニケーションズ)」等多数。